社外との連携・協業

第1回CSAJドローン・プログラミング・コンテスト


2018年3月31日(土)、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(会長 荻原紀男、以下「CSAJ」)が、国内初となるドローンのソフトウェアプログラミングに特化したコンテスト 『第1回CSAJドローン・プログラミング・コンテスト』 を慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で開催しました。テクノプロ・デザイン社は、ドローン関連技術や情報セキュリティ分野の技術力強化を企図し、慶應義塾大学 環境情報学部 武田圭史研究室と2017年4月1日より共同研究を進めており、今回、同研究室と連携してコンテストに出場しました。

「空の産業革命」と言われ、世界中で開発競争が激化するドローン分野ですが、3D測量・商業輸送・医療輸送・農業支援・プラント監視・災害調査などそれぞれの用途に適した制御系アプリケーションの開発が、今後の成長に欠かせません。アプリケーション開発においては、高度なプログラムの集大成として安全性を担保しながら精密計測や精密制御を実現する必要があるため、ドローン・プログラミング開発者の育成が喫緊の課題です。本コンテストは、広く一般や学生を対象として、ドローン・プログラミングの開発者の育成とドローン市場拡大への貢献を目指してCSAJ主催により開催されました。

 

コンテストの概要

本コンテストは、①事前書類審査、②プレゼン審査、➂実技審査の3つの審査で構成されています。ソフトウェアによるドローンの自動航行や機体制御に必要な要素技術における基礎的かつ実装レベルが測定できるプログラミング技術を審査対象とするため、事前書類審査において審査員より実現性が低いと判断された場合は、プレゼン審査や実技審査に進むことができません。

◆競技1

競技1は、高度な自動操縦技術および撮影・画像処理技術に関する競技で、縦35m×横20mの会場を使い、スタート後コースに設置された高さの異なる立方体❶❷❸に表記された◎△◇などのマークを撮影してゴールする競技。
❶縦0.9m×横0.9m×高1.5mの箱の北側側面に◎マーク
❷縦0.9m×横0.9m×高0.9mの箱の上面に△マーク
❸縦0.9m×横0.9m×高1.8mの箱の西側側面に◇マーク

【審査のポイント(競技1、競技2とも)】
審査のポイントは、正確性・スピード・安全性・独創性となりますが、特に安全性においては、衝突回避対策やエラー対策が重要視されます。

 

 

 

◆競技2

競技2は、高度な自動操縦技術および運搬・ロボット技術に関する競技で、競技1と同じ会場を使い、ドローンで100gの荷物を運搬しながら経由ポイント❶❷❸を規定の高さで通過し、指定されたポイント着陸し荷物を切り離してゴールする競技。
❶ゲート1:3m以上の高さで通過
❷ゲート2:1m以上3m以下の高さを通過
❸ゲート3:2m以下の高さを通過
ターゲットへ降ろす荷物:W5cm×D5cm×H10cm、100g

 

 

 

 

 

「慶應大学×テクノプロ」チーム

私たち「慶應大学×テクノプロ」チームは事前審査を通過し、3月31日のプレゼン審査と実技審査(競技1・競技2)にコマを進めます。プレゼン審査を前に、研究室で行なわれたミーティングでは、武田教授からチームのメンバーの役割確認とプレゼン審査におけるアピールポイントの整理が行われ、テクノプロ・デザイン社の竹瀬がスケジュールの確認を行いました。

11:15からのプレゼン審査には武田教授が登壇し、ドローンレースの第一人者である武田教授の操縦するドローンで、慶應大学SFCを舞台として撮影された映像が披露され、その見事な操縦テクニックと迫力ある映像に会場から歓声が上がる場面もありました。
プレゼン審査後に開催される実技審査では、コントローラーで操縦するのではなく、それぞれ独自のソフトウェアプログラムを用いてドローンを「自動航行」させるため、各チームのメンバーは実技審査に向けた最終調整に入りました。

 

波乱の競技

「慶應大学×テクノプロ」チームは、競技1は独自開発のドローンで臨み、競技2にはDJI社の大型機を投入しました。競技前のテスト飛行の際には、ローターが6つ付いたヘキサコプターと呼ばれる大型機の迫力に、観客や関係者からはちょっとしたスーパーカーを見るような「お~!」というどよめきが起りました。

 

競技1では、他のチームがDJI社のPhantomという市販の機体に、同じくDJI社が提供するGrand Station Proへのプログラミングによって競技に臨んだのに対し、私たちのチームは独自開発の機体とオープンハードウェアのフライトコントローラ(Pixhawk)による自動航行プログラムで挑戦しました。結果、私たちのチームが最短時間で飛行と撮影を完了し、会場から拍手と歓声が沸きました。「民生品ドローン&汎用プログラム」に対して「研究室で独自開発した機体&オープンハードウェアのフライトコントローラ」の組み合わせが、誰の目にも明らかな優秀な成績を残すこととなったのです。
競技1では、見事に課題をクリアーしたものの、競技2で思わぬハプニングが発生しました。荷物を指定されたポイントで切り離すところまでは順調でしたが、再離陸しゲート3に近づくドローンを見ていたチームメンバーに「おや?」というような嫌な予感が走った直後、ドローンのローターがゲートの柱に接触。これにより機体が墜落してしまい、ここで競技2は敢え無く終了となってしまいました。

 

コンテスト結果

実技競技2では、途中リタイヤとなってしまいましたが、事前審査・プレゼン審査・競技1・競技2を合計した総合成績で準優勝することができました。
武田先生をはじめチームメンバーは、達成感と悔しさが混在する不思議な感覚で表彰式に臨むことになりましたが、新たな研究テーマを見つけ、早速エンジニアトークが始まっていました。

 

取材をおえて

ドローンの自動航行の実現には、まだまだ課題が多い現実を見せられたコンテストとなりました。と同時に、このようなコンテストを取材できたことは、貴重な体験でもありました。現在では、当たり前のサービスとして誰もが疑うことなく便利に活用しているテクノロジーも、その黎明期においては実用化が程遠いと考えられていた技術も数多くあるのではないでしょうか。ドローンがサービスシステムに組み込まれ、私たちがその便利さを享受できる時代が訪れた時には、自由に飛び回るドローンの姿を見上げながら、今回のコンテストを感慨深く思い出すことになるでしょう。何はともあれ、時代のフロントランナーとして人々に生活に便利を提供するため日夜研究に打ち込むメンバーと学生を誇りに感じ、心から拍手を贈りました。

(2018.03.31)

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