グループ認定サークル「TechnoPro Allstars」、2020年シーズンの主戦場は『アークスリーグ』に決定。アークスリーグとは、主に東京、埼玉で活動する初級レベルの草野球チームを対象として2018年に立ち上げられたリーグで、約50チームが加盟。その理念は、『心から野球を楽しみ、野球を通じて充実した余暇を過ごす。各チームの交流により人脈を広げ、豊かな人生の一助となる。』であり、チームメンバー全員が楽しく参加できるよう選手交代などに独自のルールがあるのも特徴。まさに、「勝つことが目的ではなく、勝敗に関係なく野球を楽しむこと」がモットーのTechnoPro Allstarsが探していたステージが整った。
2020年3月7日(土)、冬ごもりから這い出た虫も季節を間違えたのかと勘違いする程、川面を渡る冷たい風が肌を刺す新荒川大橋野球場。アークスリーグ加盟後の初戦に臨むTechnoPro Allstarsのメンバーが集結。
記念すべき初戦の対戦相手はノーザンライツTOKYO。このチームは、アークスリーグの今期開幕戦となった前週の試合を3対1で勝利しているうえに、最年長者が29歳という若手チーム。試合慣れと動きの良さは容易に想像できる。TechnoPro Allstarsの過去の試合結果を振り返ると、力勝負の相手には“がっぷり四つ”で比較的持ち味を発揮するが、足を使ったり小技を使ったりして試合をかき回してくるような相手には苦戦を強いられる傾向があるのは否めない。相手がどんな戦術を用意しているのか、TechnoPro Allstarsのおじさん(笑)メンバーたちがどんな戦いを繰り広げるのか、楽しみな一戦となった。
Allstarsの先攻で試合開始。初回、あっさりと3者凡退に切って取られ、その裏、先取点を取られるのは避けたいところであったが、決して悪くないと思ったピッチャー松田の立ち上がりを上手くつかれ、2失点。
2回表には、原田のタイムリースリーベースを絡めて、2点を返し試合を振り出しに戻し、ベンチの雰囲気は俄然盛り上がりを見せる。と、思ったのもつかの間、その裏には4本のヒットを固め打ちされ3点を失い、2回の攻防を終わって2対5。ノーザンライツTOKYOは試合慣れしていると見えて、点の取り方にはなかなかうまさを感じる。さらに、4回には3連打で2点を追加され、4回終了時点で2対7。
得点差だけを考えると明らかな敗戦ムードと言ってもおかしくない。ところが、今日のAllstarsには何か違う空気が漂う。久々の公式戦ということもあり若干固さは感じられるものの、得点差を感じさせない程、試合内容が良い。ピッチャー松田が好投しているからなのか、メンバー全員バットが振れているからなのか、新加入のテクノブレーンの永山・工藤の二遊間の守りが固いからなのか、はたまた、外野へのフライはアウトにできる安心感からなのか。その理由は定かではないが、5点も差があるのに、何故か一方的に押されている感じが全くしない。
5点を追う5回表の攻撃は、1番古賀からの好打順。ランナーをためて、4番伊藤がチームの雰囲気に後押しされたタイムリーヒットを放ち、2点を返す。その裏、2つの四球を出しながらも、粘りの投球で松田が相手の攻撃を無得点に抑え、5回が終わって、4対7と3点を追うAllstars。
6回表、ベンチの期待を背負い8番佐々木がバッターボックスに入る。相手のエラーと四球を絡めて、1アウト満塁と攻め込む。ここで、3番穴沢のセンターへの犠牲フライで1点返し、2点差までつめ、引き続きランナー1・3塁のチャンスが続く。既に2アウトではあるが、1打同点のチャンスに打ち気満々の4番伊藤が打席に立つ。思わず強振してしまいがちな場面であったが、粘ってフルカウントから四球を選び、冷静に塁を埋めて5番原田に全てを託す。
ストライク、ボール、ファウル、ファウルに続く5球目、原田が放った糸を引くようなピッチャー返しは、あっという間に内野を抜け、外野も追いつかない。打者の原田は俊足(?)を跳ばしホームまで戻り、歓喜のなか満塁本塁打で、9対7の大逆転劇を演じて見せた。
ここで、審判から規定時間が近づいたため、この後の6回裏ノーザンライツTOKYOの攻撃で試合が終了することが宣言される。
こんな仲間の活躍を見せられたAllstarsのエース松田がその裏を無失点で抑えたのは、言うまでもない。
久しぶりの公式戦勝利に、「勝つことが目的ではなく、勝敗に関係なく野球を楽しむことがモットー」と、いつも負け惜しみの様なことを言っていたキャプテン堤の目にうっすらと浮かんだ嬉し涙を見逃さなかったメンバーも多かったのではないだろうか。Allstarsの今シーズンは一味違う活躍が期待できそうだ。
アークスリーグの記念すべき初戦を見事に勝利で飾ったAllstarsのメンバーは、誇らしげに赤羽の街に吸い込まれていきました。
(2020.03.07)