
左から 株式会社アルテニカ 田中祐哉氏、旭岳央氏、テクノプロ・デザイン社 立石恒大
※写真撮影のためマスクを外しています。
2021 年6月、テクノプロ・デザイン社が『デジタルトランスフォーメーション支援サービスの始動』を発表し、Salesforce 認定コンサルティングパートナーとしてSalesforceの導入並びに利活用支援を開始。そのSalesforce事業の推進役となっているのが、ソリューション事業本部DXソリューション統括部ITプロダクトソリューション課に所属する立石恒大さんです。今回は、株式会社アルテニカ様に対するSalesforce 導入コンサルティングの現場でさまざまな機能の構築・実装に携わってきた立石さんに、知っているようで知らないSalesforceのこと、また日ごろプロジェクトを進めるうえで意識していることなどについてお伺いしました。
お客様課題の解決とエンジニアとしてのキャリアアップを実現するSalesforce
立石さんが考える、「Salesforce ならではの特徴」は何でしょうか?
立石 特徴として挙げられる点は2 つあります。まずは、Salesforceは優秀なパッケージソフトであり拡張性の高い開発プラットフォームとして、お客様のビジネス課題の解決という面で大きな可能性を持っているということ。そして、もうひとつはエンジニアとし
てのキャリアを考えた際に、携わることによって仕事の範囲と知見が広がるという意味で魅力的な製品であるということです。
Salesforce がパッケージソフトとして優秀であることの裏側には、同社がグローバルで強い営業力を持っていることが大きいでしょう。常にユーザーの要望を吸い上げ、その情報を機能の改善や追加という形で実現し、販売に繋げるというサイクルが見事に完成されています。その結果、パッケージソフトとしての使い勝手がどんどん良くなり、ユーザーのかゆいところに手が届く度合いが高くなっています。
また、開発プラットフォームとしてよくできている点も非常に面白くて、Salesforceの場合は「画面を作る」「データベースを作る」といったことを実現するのにプログラミングする必要がありません。誰が作っても変わらない画面を一からコツコツ作らなくてよいのです。その結果、システム開発工程の中でアプリケーションを実装する作業は極限まで削減され、設計やその前の企画検討に専念できるようになっています。
このSalesforce の特徴が、エンジニアのキャリア形成の観点でも有利に働く面があると思っています。たいていのユーザー企業はSalesforceのパッケージをそのまま導入することが多いのですが、導入後、追加の機能開発を行うこともまた一般的なんです。この時がITエンジニアとしての本領を発揮する場面、まさに設計の領域であり、ユーザーの要望を実現するため、「適切なデータベース構造は?」「将来的にSalesforceの拡張性を活かせるだろうか?」「既存のシステムとの連携は……?」といったことを考える必要があります。
Salesforceの仕事をするようになると、いわゆる『上流工程』の仕事が自然に多くなり、様々なビジネスに関連する知識、経理・人事など機能別の業務知識、システム構成に関する知識、他ベンダーの商品に関する知識など多面的な情報を取り扱う必要がありますので、エンジニアとしての考え方や対応力が格段に変化するはずです。ただ、誤解のないよう申し添えておきますが、決してプログラミングの仕事を否定する訳ではありません。私を含めてたいていのエンジニアはコツコツとモノを作ることが好きですので(笑)。
上流工程の仕事と聞くと、ハードルが高そうなイメージがありますが……。
立石 Salesforceの製品は決して安価なものではありませんので、導入するユーザーさんは「中長期的に全社で使っていくために我々は頑張るのだ」という覚悟をされているはずです。だからこそ担当するエンジニアには、その覚悟に応えるだけの広範な知識に裏付
けられた提案力が要求されることになります。テクノプロでもSalesforceで構築されたTalentCUBEを全社基盤として使っていますが、まさにそのようなお客様に対してテクニカルな設計をするITアーキテクトとしてのスキルが求められていくと思っていますし、このことはセールスフォース・ドットコム社も当然分かっています。Salesforceは複数の製品をクロスオーバーして使うことで導入のメリットを最大化することができますので、同社では『マルチクラウド』の掛け声のもと、エンジニアにも複数の製品や業務領域の知識やノウハウを持ってもらうことを目的に、テクノプロ・デザイン社のようなパートナー企業のエンジニアに対する教育を手厚くするなど万全のサポート体制を提供してくれます。今後、もっと強力なオフィシャルサポートも受けられるでしょうし、学習環境もさらに充実していくはずですので、やる気を持って取り組むことが大切だと思います。
上流工程や複数製品などに関するノウハウを得ることで仕事も広がっていき、SEやコンサルタントの領域に向けて能力を拡張していくようなイメージですね。
自身の成長と顧客との関係構築に大切な『ポジティブに捉える』心構え
プロジェクトを進めるうえで立石さんが大切だと考えているポイントをお聞かせください。
立石 いろいろと考えられますが、すべてにおいて一番大切なのは何事に対してもポジティブに捉えることではないかと思います。
例えば、これまでにまったく経験したことがなく、知識もほとんど持っていない案件について話をする際に、お客様に対して「できません」と言えないからといって、ついつい「分かりません」「調べてみます」という曖昧な返事をしてしまうことはないでしょうか?そのような伝え方では相手に不安を与えてしまいかねませんから、同じ内容であっても、たとえば「少し検討しますので1 週間ください」と言ってみてはいかがでしょうか。1 週間という期限を設定することで、お客様は「1 週間後に何らかの解決策や解決の方向性を提案してもらえる」という期待をしてくれると思います。そうやってポジティブに捉え、前向きに対応することで自分自身が成長するチャンスに出会うことができますし、お客様との信頼関係の構築にも寄与することでしょう。
また、1 週間の期間をお客様からもらった時点で、ある種の計画を立てたことになります。前提としてお客様の期待値や要求水準の高さを確認することを忘れてはいけませんが、その期間を使って関連技術や開発事例などを調査することもできます。また、私自身は、計画を立てる際にその中に「計画の見直し」というタスクを入れておき、それをお客様やプロジェクトメンバー全員と共有することを大切にしています。先ほど申し上げた信頼構築という意味でも、大きな計画からブレークダウンした小さな計画まで、常にお客様から見えるようにしておくことはとても重要だと思います。
自分の挑戦を実現できる環境が揃っていたテクノプロ・デザイン社
立石さんは中途入社で入社されたそうですが、なぜ前職からの転職をお考えになったのでしょうか。
立石 直接の理由は、子供が生まれたことです。前職でもSalesforceの導入支援をやっていまして、仕事自体は可能性のあるビジネスでとても面白かったんですが、その頃は残業が非常に多かったため、家庭との両立が難しいと判断せざるを得ませんでした。
ただ、実を言うと退職を決意する際にも、「自分自身がもう少しうまく立ち回れていればあれほどの残業は不要だったのでは?」「もしそうなら辞めなくてもすんだのではないか?」という心残りがありまして……。でも、いまさらそう言っていても仕方ありませんので、転職をする決意は変えませんでしたが、同時に、転職後にはその反省を活かして挑戦してみたいという明確な課題も持っていました。
その結果、次の職場としてテクノプロ・デザイン社を選ばれましたが、どんなところに魅力を感じたのでしょうか。
立石 先ほど申し上げた通り、やり残した気持ちを抱えながらの転職活動の中でしたが、「私の挑戦が実現できそうな会社に出会った、それがデザイン社だった」という表現がピッタリだと思います。ちょっと格好良く言い過ぎかもしれませんが(笑)、実際にそういった気持ちでした。たとえば、在籍するエンジニアが多いということはものすごく大きな武器ですし、教育研修制度や営業体制を見ても他社とは比較になりません。また、中期経営計画の中で掲げられているサービスの高品質化やソリューションの提供といった内容も私のイメージに合致していましたし、「成果を出せばさらなる支援を惜しまない」という会社の決意も感じました。また、これからSalesforceを売り込むための仕組みづくりをするという時期は私にとっても願ったり叶ったりのタイミングで、何にも増して魅力的でしたね。テクノプロ・グループ自体がSalesforceの大口ユーザーですから同社に対する抵抗感がないだろうということも、私にとっては大きなプラス材料になりました。会社からのバックアップがあり、もっと仲間が増えていけば、私の考えるSalesforce拡販の仕組みづくりの実現もそう遠い話ではないと感じています。
これから、立石さんのさらなる活躍が期待できそうですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
(2021.07.02)