社員インタビュー

製造業に特化した機械学習自動化ツール『MLFactory』を開発

株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社(以下「テクノプロ・デザイン社」)の先端技術センターには、多数のデータサイエンティストが在籍し、AI/データサイエンス領域における企画検討、データ収集・分析、AI開発、導入・検証までさまざまなソリューションの提供に加え、独自開発製品の販売も行っています。同センターは、2023年8月にテクノプロ・デザイン社が数多くのプロジェクトで培った豊富な経験とノウハウを活かし、製造業の現場で求められる高度な機能を手軽に使用できる機械学習自動化ツール『MLFactory』を開発、製品化しました。

今回は、この『MLFactory』を開発した先端技術センターのプロジェクトチームのメンバーの一人であるデータサイエンティストの増田瑛介さんに、『MLFactory』の特長や開発の背景などについて伺いました。

まず、『MLFactory』がどのような製品か教えてください。

増田 『MLFactory』は、製造業に特化した機械学習自動化ツール(AutoML)です。製造業のエンジニアリングチェーンで検討されることの多いテーマに対応し、異常検知、原因分析、最適化、性能予測などの機械学習アルゴリズムが標準搭載されており、製造現場におけるさまざまな課題の解決に役立てていただくことが可能です。

自動車メーカーなど製造業のお客さまとの取引きが多いテクノプロ・デザイン社がこれまで蓄積してきた製造業向け分析ノウハウをアセット化しており、生産設備の異常検知や製品の性能予測など、製造業において特に結果が出やすいアルゴリズムを搭載していることに加え、プログラミング経験が少ない生産技術や設計開発部門の方でもノーコードで手軽にご利用いただける点が大きな特長です。

また、『MLFactory』はサブスクリプション型でのリーズナブルな価格設定をしていますので、他社製品と比較しても価格面での導入ハードルの低さも優位点だと考えています。

AutoML(Automated Machine Learning):機械学習を用いた分析で行われる、さまざまなタスクを自動化する技術

『MLFactory』は製造業に特化した、テクノプロ・デザイン社ならではの製品ですが、お客さまからの反応はいかがですか。

増田 2023年8月にリリース以後、私も含めた先端技術センターのメンバーも商談のサポートなどに入ってお客さまに製品をご案内していますが、多くの方から非常に強い関心を寄せていただいています。PoC(Proof of Concept)と呼ばれる導入のための概念実証を行っている企業も含め、トライアルなども実施していますが、一部のお客さまからは「ぜひ使ってみたい」というポジティブなご意見を頂戴することが多く、市場からのニーズは確実にあると自信を持っています。

課題設定やデータ取得を支援するデータ利活用コンサルティングや、データ分析・AIのスキルを習得するための教育・人材育成サービスなど、テクノプロ・デザイン社で提供している各種ソリューションとの連携や、より使いやすく高機能化するための『MLFactory』自体のアップデートなども含め、今後、さらに多くの企業にご利用いただくための取組みを推進していく予定です。

その『MLFactory』について、開発に至った背景について教えていただけますか。

増田 私が所属する先端技術センターは、主にAI/データ解析の技術を活かしたソリューションを提供しているのですが、新たな製品の企画に際して、テクノプロ・デザイン社の営業担当が聞き取ったお客さまの困りごとや、各部門が持っていた技術的課題などを社内横断的に収集し、検討を進めたところ「製造業に特化した機械学習自動化ツール」という製品ビジョンが浮かんできました。

その上でさらに製造業のお客さまのニーズを詳しく分析した結果、設計開発部門や製造現場の方など、データサイエンスの専門家ではない方でもAIアルゴリズムを活用して製造のエンジニアリングチェーンにおけるクリティカルな課題を解決することを可能にする製品として、『MLFactory』の開発が決定しました。

そういった意図もあったため、数学的な理論が表出して難しくなりがちなAI製品をできるだけ分かりやすくすることを目指し、特にユーザーインターフェース(UI)開発にはこだわりました。専門的で難解なアルゴリズム名などを極力排し、製造業の方が使いやすいように機能軸の表現を使うといった工夫を随所に盛り込んでいます。その一方で、複雑な操作が不要な簡易モードだけではなく、データサイエンスの知識がある方が柔軟にカスタマイズして使用できる高機能モードも設けるなど、幅広い用途に利用していただける仕組みも取り入れています。

『MLFactory』はテクノプロ・デザイン社として初めて開発・製品化したソフトウェア製品をということで、社内表彰制度『技術貢献賞』で金賞を受賞されましたが、結果を受けてどのようなお気持ちでしょうか。

増田 表彰制度があることは知っていましたが、まさか自分のプロジェクトチームが金賞を受賞できるとは思っていませんでした。今回の受賞は、企画の際に意見やフィードバック、顧客の課題整理に協力していただいた営業/プリセールスの方、開発協力いただいたグループ会社の方など、多くの方のご支援があってこそだと思っています。社内のこのような賞をいただけたのは、非常に嬉しく感じますし、チーム全体での努力や熱意が認められた証左だと思います。

特に協力会社との仕様面での認識の擦り合わせについてはチームとして大変で、苦労もしましたが、『ML Factory』はチームと周りの方々の努力と協力があってこそ、生まれた製品だと思っています。今後はこれを励みに、周囲の方々とより一層協力しながら、精進していきます。

プロジェクトチームや増田さんご自身についてもお聞かせください。製品の開発はどのような体制で進めたのでしょうか。

増田 『MLFactory』は、最大8人の先端技術センターのメンバーで、開発担当ごとに分担して開発を行いました。データ分析の領域で20年ほどの経験を持つプロジェクトマネージャ―を中心に、PoCの知見を持った方や、サーバーやネットワークなどのインフラに精通したエンジニアなど、チームメンバーがそれぞれの得意領域で能力を発揮して開発を行うことができたと思っています。

また、先ほどもお伝えした通り、テクノプロ・デザイン社の他の拠点や部門の皆さんからの協力に加え、一部の作業をテクノプロ中国にもサポートしていただきました。開発途中で当初のスケジュールが変更になり、開発工程を前倒しで進める必要が生じてしまい大変苦労したのですが、そういった多くの方のご協力のおかげで、約1年3カ月という短期間でリリースすることができました。

増田さんはキャリア入社でテクノプロ・デザイン社に入社されたそうですが、その前からデータサイエンティストとしての経験をお持ちだったのですか。

増田 いえ、私は前職では大手自動車メーカーの設計開発部門で設計業務に携わっており、データサイエンス分野には携わっていませんでした。しかし、現場で仕事をする中で、製造業でも積極的にデータ分析や統計学を取り入れる必要があると考えており、データサイエンスには興味を持っていました。

そんな折に、テクノプロ・デザイン社が育成を前提としたデータサイエンティストの採用を行っていることを知り、データサイエンティストへの転身を決意して入社しました。その後はデータサイエンス研修を受講し、数学的な分析法やプログラミング、統計学について学びました。データサイエンスの知識や経験はありませんでしたが、もともと数学が好きだったので自分に合っている領域だと感じましたし、今回携わった『MLFactory』は、「AIやデータ分析を製造現場で役立てたい」という自分の思いにも合致する製品ですので、大きなやりがいを感じています。

最後に、今後の目標があれば教えてください。

増田 まず、『MLFactory』について、お客さまからのフィードバックやご要望を取り入れてさらに使いやすくなるように、機能をブラッシュアップしていきたいと考えています。

また、『MLFactory』は製造業に特化した機能を中心に搭載していますが、そのほかのお客さまにもターゲットを広げ、製造業だけでなく他の業界でも使える製品を開発できたらいいですね。

今後もお客さまに喜んでいただけるように、周りの方々と協力しながら品質とサービスの向上に努めていきます。

増田さん、ご多忙な中、インタビューにご協力いただきありがとうございました。

『MLFactory』についてのお問合せ
商品紹介ページ:https://www.technopro.com/design/lp/mlfactory/
ソリューション事業本部 先端技術センター (ATC):
info_mlfactory-design@technopro.com

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