――本日はお忙しい中インタビューのお時間をいただきありがとうございます。
現在の業務は複合機メーカーのシステムを開発中とお聞きしましたが、まずプロジェクトの概要について伺えますか。
竹田:現在、私が携わっているのは、お客さまが複合機のスペアパーツを一括管理するための業務システムの開発です。
これまでもスペアパーツを管理するためのシステムは利用されていたのですが、社内の他部署ではそのシステムとは別にExcelを使って情報管理していたり、各所で持っているデータが統一されていなかったりといった点が効率化の障壁になっていたそうです。
その課題を解決して業務の円滑化を実現するために、既存システムで扱っていなかった社内のさまざまな情報も取り込み、スペアパーツの管理情報を統合・一元化するシステムの導入を決定されたお客さまからのご相談を受け、テクノプロ・エンジニアリング社が開発を担当することになりました。
プロジェクト自体は1年半ほど前にスタートし、私自身は要件定義から詳細設計フェーズに移行して実装メンバーの増員が必要になった2023年10月から開発チームに加わりました。現在は、私を含め最大14人ほどの体制で開発を行っており、開発についてはおおよそ完了の目途が立ってきましたので、その後の運用保守などに関する検討段階に入ってきたところです。
システムのフロントエンドはインターフェースにMicrosoft PowerAppsを、バックエンドには同社のAzure Functions(Azure上で関数をサーバーレスで実行できるサービス)というサーバーレス製品を使用した構成になっており、私はバックエンド側の担当として、フロントから受け渡されたデータをデータベースと連携する処理や、夜間に実行するバッチ処理などの開発を、Azure FunctionsやPythonなどを用いて行っています。
――プロジェクトを進める上で苦労された点などはありますか。
竹田:実は、新卒入社後の最初の仕事だったミドルウェアのサポートの次に携わったITインフラの業務で、サーバーやネットワークに関する知識や経験は身に付けていたのですが、その上のレイヤーで動くアプリケーションの開発については経験がありませんでした。「ぜひそういった業務にも従事してみたい」という要望を会社に出していたことで今回のプロジェクトに参画する機会を得たのですが、初めての開発業務ということで基礎知識のない中で実務に取り組む必要があり、その点は大変でしたね。
また、開発要員としてだけではなく横浜支店の技術マネージャーという立場でもありましたから、「チームのメンバーより技術面で劣るわけにはいかない」と考え、自己研鑽のためにテクノプロ・グループの注力ソリューション分野であり、グループ全体で資格取得を推進しているAWS認定資格の勉強も並行して進めていましたので、時間のやりくりには非常に苦労しました。
ただ、実際には「やりたかったアプリケーション開発業務に携われて嬉しい!」という気持ちが一番強くて、苦労したという意識はあまりありません(笑)。
――竹田さんはAWSの全資格を取得されているとお聞きしましたが、初めての開発業務で大変な中で達成されていたとは驚きました。Pythonについても会社に入ってから習得されたんですか。
竹田:そうですね。PythonについてはWebアプリケーションのバックエンド開発でも広く利用されている言語ですので、入社して2年目くらいの時期に資格は取得していましたが実務では使っておらず、今回初めて実際に業務で使用しています。
――新しい業務へのチャレンジや、新しい資格取得などに能動的に取り組むことのできる、その強い意欲はどこから生まれてくるのでしょうか。
竹田:最初に携わったカスタマーサポートから、希望してインフラ業務に移った際に知識や経験のギャップを経験し、それを埋めるためにサーバーやネットワークの知識を身に付け、今度はアプリケーション開発にチャレンジして新たなギャップに直面する……といった状況ですので、常に知らないことに取り組むのは大変ではあるのですが、何より「新しいことを知る」という楽しさのほうが勝っていて、それがモチベーションになっています。
よくSaaSのサービスを提供している会社が掲載しているエンジニアブログなどを見るのですが、そこで高度な手法やトレンドの技術を使っているのを知ると、「そういうものもあるのか。自分もまだまだ勉強しないと!」という意欲が湧いてきますね。
また、技術マネージャーの前に担当していたサブマネージャー時代に、メンバーとの面談で「何の資格を取ればいいですか?」 「どんな勉強が必要ですか?」という質問を受けた時に、自分がほとんど資格を持っていないこともあって役に立つ回答をしてあげることができず、悔しい思いをしたことがありました。
それ以来、技術を身に付けないとメンバーのお手本になることができないという気持ちから、技術マネージャーとして積極的に資格の取得に取り組むようになりました。
もちろん、運転免許を持っているからといって運転が上手いとは限らないのと同様に、資格があるから技術が高いということにはなりません。それでも資格を取ることで自分に多少なりとも自信が付きますし、勉強する中で「業務とは関係ないけど、これも面白い!」と興味を持ち、新たな知識を深掘りするきっかけにもなりますから、資格の勉強に取り組んで本当に良かったと思っています。
――竹田さんは2018年にテクノプロ・エンジニアリング社に新卒で入社されたそうですが、テクノプロを選んだ理由をお聞かせいただけますか。
竹田:私は建築系の学部出身なのですが、製図の授業でもCADは難なく使えるのに手書き製図については自分には絶望的なくらい合わず、建築模型の製作も苦手なことを痛感しまして……(笑)。
もともとコンピューターが好きで、中学生の頃には技術の授業で「Excelで数値を入力し、100以上なら★マークを表示する」 「タイピングで制限時間内に何文字打てるか」といった課題に誰よりも真剣に取り組んでいたくらいでしたから、「卒業後はITエンジニアへの道へ進もう」と決めました。
そうやって迎えた就職活動の中で、テクノプロ・エンジニアリング社の担当の方と話をしたところ、情報系の専攻ではなかった自分のIT分野への興味について理解を示してくれたことや、建築の知識を活かせる案件もあるという説明を受け、自分の興味があることと学んできたこと、両方のチャンスがある会社だと思い入社を決めました。
――実際にテクノプロ・エンジニアリング社に入社してみて、どのように感じましたか。
竹田:規模の大きな企業ですし、自分の意見がきちんと届くのかという点は気になっていましたが、実際には想像よりもはるかに風通しがよく、自分がやりたいと思ったことにチャレンジさせてくれる会社だと思います。
先ほどもお話ししましたが、「サーバーやネットワークの仕事がやりたい」 「アプリケーション開発にチャレンジしたい」という私の希望も叶いましたし、自分が興味を持っていることに挑戦させてもらえます。
新たにチャンスを与えてもらった現在の開発業務についてはまだ経験が浅いので、さらに知見を身に付けていき、ゆくゆくはフロントエンド開発にも挑戦してみたいですね。
そうやってさまざまな経験を積んでいくことで、自分のように情報系ではない学部出身のエンジニアや、インフラにいるけどアプリ開発にチャレンジしたい、あるいは逆にアプリからインフラに挑戦したいという人たちに対してみずからの経験をベースに進むべき道を示して影響を与え、「新しい分野の技術を身に付けたい!」 「自分でソリューションを開発してみたい!」といった意欲を引き出せる存在になること目指して、これからも努力を続けていきたいと思っています。
――その環境で積極的にチャレンジを続けている竹田さんですが、仕事をする上で大切にしていることがあれば教えてください。
竹田:そうですね……。仕事をする上で「物事をポジティブに捉える」ということは常に考えていて、他の人にとっては「嫌だな」と思うようなことであっても、自分はポジティブに変換するように意識しています。
あまり良い例ではないかもしれませんが、「あの人は苦手だな」と周囲から言われるような方と話をする機会があったら、「なるほど、こういう言い方すると周りから煙たがられるんだな」と学習したことにする(笑)。よく言われる言葉かもしれませんが、「誰からでも、何からでも学べることはある」と考えるようにしていますね。
また、ポジティブな思考をする一方で、「満足をしない」ということも意識するようにしています。先ほどの話にも出たようにAWSの資格を全部取得しましたが、その時に大きな達成感が得られたことは事実です。しかし、その気持ちに酔いしれて満足してしまうと、その先の努力を続ける意欲が失われてしまいかねません。
常に成長へのやる気を持ち続けるためにも「ここで満足してしまうと自分の成長が止まる」という感覚を持つことが大事だと思いますし、安易に満足してはいけないと意識しています。
――お話を伺っているとコミュニケーション能力も高く、技術マネージャーとして拠点のエンジニアを支えていらっしゃるので、マネジメント面の役割を担う存在としても期待してしまいますが……。
竹田:自分はエンジニアとしてまだまだ未熟ですので技術力を付けることがまず先決なのですが、将来的に技術マネージャーの先にあるポジションを目指していきたいという気持ちはあります。
ただ、そういった役割を担うためには、拠点の売上や利益などの業績を考える経営的な視点や、配属するエンジニアの価値に見合った対価をいただいてしっかり利益を出すといったビジネス上のノウハウなども身に付ける必要がありますから、今の自分に足りないところだらけで、まだ具体的にはイメージできません(笑)。
ですから、現在横浜支店を統括しているゼネラルマネージャーのような、自分が身近に接することのできる存在をロールモデルとしてさまざまなことを学び、さらに成長していきたいと思います。
――竹田さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。