社員インタビュー

宇宙開発&若手エンジニア育成(1)

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テクノプロ・デザイン社(以下「DS社」)の横浜支店の北原真樹さんは、宇宙開発の現場でエンジニアとして活躍したのち、自社エンジニアのキャリアアップのサポートを行うキャリア・デザイン・アドバイザー(CDA)に就任しました。今回はそんな北原さんに、技術者時代の苦労話や現場から後進を支える仕事に活躍の場を移すことになったきっかけなど、さまざまなお話を伺いました。

 
 

予想外の「宇宙開発」に 唖然とさせられた初配属

宇宙開発の仕事に就くことになったきっかけを教えてください。

北原 私は1997年に新卒で現在のDS社に入社しました。
入社導入研修を受講した後、4月のうちにお客様先に配属になったのですが、配属初日にお客様先の担当者から「みなさんには、これから宇宙開発に関する仕事をしてもらいます」という説明を受け、さらに「北原さんの担当は電源開発です」と言われて面食らってしまいました・・・。
『宇宙開発』なんて言われても当時の私には何を開発するのか想像すらつきませんし、そもそも大学では半導体プロセスの研究をしていたので、電源についても電気回路の講義を受けた程度の知識しかなく、「宇宙開発・・・?電源関係・・・?」と唖然としてしまいました。
その時は初めて社会に出て仕事をする緊張感に「これから大丈夫かな・・・?」という判然としない不安が加わってしまったせいで少し具合が悪くなってしまったことを今でも覚えています(笑)。

 

配属後は実際にどういった業務を行っていたのでしょうか?

北原 守秘義務がありますので業務内容について具体的にお伝えすることができない部分が多くて大変申し訳ないのですが、概要だけ申し上げると推進系の装置に用いられる電源装置などに関わる仕事です。
推進系の装置は人工衛星や宇宙探査機の軌道制御に用いられることが多いのですが、故障やその後の行方不明など数々の困難を乗り越えて無事に地球に帰還し世界に感動を与えた人工衛星など、軌道制御ではなく推進エンジンとして使っているものもあります。
いずれにせよ、限られたスペースを使って必要とされるすべての機能を実現するためにありとあらゆる工夫が求められるので大変です。
また、故障が起きることも前提に入れて機能を実装しなければいけませんので、設計そのものの難しさ以上に極限環境での使用に耐えうるようにすることや、万が一故障した場合にも遠隔操作で手を触れることなく修理できるようにすること、といった部分にも難しさがあります。

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恩師の教えを糧にして後進を支える道へ

今後は開発の現場を離れ、エンジニアのキャリアアップを支援するCDA(キャリア・デザイン・アドバイザー)として後進の育成に力を入れるそうですね。なぜ、CDAになろうと考えたのでしょうか?

北原 CDAになることを決断した一番の理由は、「技術者の皆さんが仕事で困ることなく、楽しく仕事ができるよう自分の力でサポートしたい!」と勝手に思い至ったからです(笑)。
その上で、私が若手の技術者の方々に対していろいろな角度からキャリア・プラン設計のお手伝いをすることで、一人ひとりが描くエンジニアとしてのキャリアプランを実現させてくれれば技術者として最高だな、と感じたんです。
また、私が所属する横浜支店にはたまたまCDAが不在で近隣の支店からサポートを受けている状態だったのも、おせっかいな気持ちが芽生えて「それなら私が・・・」と手を挙げる理由になりました。

 

CDAとして後輩エンジニアに接する時にどういったことに気を付けていますか?

北原 「困らず楽しく仕事をする秘訣は決して難しいものではなく、はじめから自分自身の中に存在している」と伝えることです。
原因は些細なものが大半です。
それを解消する秘訣については、私が師匠と仰ぐ方の言葉が非常に当を得ていると思います。
その人は先ほどお話した最初の配属先のお客様で、回路図のイロハからメモの取り方、実験を進める方法に至るまで、右も左もわからなかった私に基礎的なことから指導してくれた、まさに自分にとって恩師と呼べる人物です。
その言葉を順に挙げると、

  1. わからない事は質問する
  2. 作ったものが設計通り動かない時は、言い訳せず「動きません」と言う
  3. 試作品などが壊れた時は「壊れました」とはっきり言う
  4. 直し方がすぐに判断できなくてもまずは「直します」と言う

以上の四つです。

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耳にしてみるとどれも当たり前のことですが、つい自分かわいさの余りこの逆のことをやってしまいがちです。
その結果どうにもならなくなって立ち往生してしまい、次第に仕事がつまらなくなり、逃げ出したくなってしまうんだと思います。
だからこそ、仕事を、困ることなく、楽しく進めるためにこの「当たり前のこと」を常に心がけてほしいと思いながら後輩と話をしています。
また、師匠からは「北原さんが仕事をお願いした相手はしっかり動いてくれた?」と聞かれたこともありました。
依頼した仕事がうまく進んでいない様子を見かねての質問だったんでしょうね。
その後、「人が動かない理由は自分自身にある、相手のせいにしてはダメだ。
それは他人に動いてもらえるだけの説明ができていない証拠だ。」という指摘を受け、まさにその通りだな・・・と自分の至らなさを痛感しました。
そんな経験を通じて、自分自身の考え方ひとつで目の前の景色がガラリと変わることを知り、若手の方にもそれを伝えたいと思うようになりました。

 

とはいえ、若手エンジニアのみなさんにとって、自分から言いづらいことを言うのは勇気がいりますね・・・。

北原 若いうちは確かにそうかもしれません。ただ、自分の周りの人から学ぶこともできるんです。
私自身の例で言うと、納品トラブルの説明のため顧客先に行く師匠に同行した時がそうでした。先方の担当者は「『トラブルが起きました』で済まされる問題じゃない!とにかく何とかしろ!今までの計画をひっくり返すつもりか!」と、ものすごい剣幕でお怒りで、本当に噛み付かんばかりの勢いでした。
さすがの師匠も少し冷や汗をかいていたようですが、それでも「今回は想定外のトラブルでしたので詳しくご説明にうかがいました。
現在、検討中ではありますが、必ず直しますので少しお待ちください。」とお詫びを述べ、ひるむことなく丁寧に対応していました。
そのトラブルは最終的には解決しスケジュール通りに納品できましたが、私はなによりも堂々と礼儀正しく相手に対峙していたその姿に感服し、師匠のように仕事への誇りと情熱を持ち、自分を信じてポジティブに前に進んでいけるようになりたいと思ったんです。
ですから、若いエンジニアのみなさんにもそういった「よいお手本となる師匠」を見つけてほしいですね。
ちなみにその師匠はすでにリタイヤされましたが、今でもFacebookではつながっていて、お互いに『いいね!』を押し合う仲です(笑)。

yajirushi

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