社員インタビュー

「まずはできる範囲でやってみよう」 前向きさと女性ならではの視点を活かした支店運営

株式会社テクノプロ テクノプロ・IT社 
高松支店長・松山サテライト長 稲垣 紀子さん
 

株式会社テクノプロ テクノプロ・IT社(以下「テクノプロ・IT社」 )の高松支店で女性支店長として活躍されている稲垣さん。支店メンバーからは“支店のお母さん”のような存在として慕われている稲垣さんに、拠点を統括する役職者として大切にしていることや、働き方に関する考え方などついて伺いました。

――まず、稲垣さんのこれまでの経歴を教えていただけますか。

稲垣 私は、前職での新卒・キャリア採用業務の経験を経て、2011年7月に株式会社テクノプロの前身企業の一つである現テクノプロ・エンジニアリング社 水戸支店に営業職として入社しました。その後、2014年のグループ4社の合併後、テクノプロ・IT社に所属することになり、西日本のいくつかの支店で営業職として経験を積みました。2019年に松山サテライトで営業課長の職に就いた後、2020年に高松支店の支店長を拝命し、今年で5年目を迎えます。

――支店長として、現在はどのような業務に従事されているのでしょうか。

稲垣 予算の策定、実績管理や取組み施策に関する報告、採用活動など、支店の円滑な運営のために必要な仕事のすべて、という感じでしょうか(笑)。

そういった様々な業務を遂行するうえで、私が自分の役割として何よりも心に留めていることは、過去に尊敬する上司からいただいた、「役職者の仕事は責任をとることと、謝罪をすることだけでいい」という言葉です。その言葉を実践するために、トラブルが起きた際には、私も営業担当と一緒にお客さまのもとへ謝罪に伺い、お客さま側に起因するトラブルで、簡単には収束できない場合でも、責任者の立場から私がお客さまに対して説明し、丁寧に交渉することでご理解を得るといったことも行っています。
また、新しい方法や、より良いやり方を知った際に、それを自分の組織に取り入れる判断をすることも私の役割の1つですね。私自身もそうですが、同じ仕事を長くやっていると視野が狭くなってしまい、物事をある一定の範囲でしか考えられなくなることがあります。だからこそ、周りの皆さんからのさまざまな意見を聞き、時にはメンバーの配置を入れ替えたりしながら、より良い支店運営を目指しています。

――支店長という責任のある職務を担うことは、大きな決断ではありませんでしたか。

稲垣 現在のポジションに就任する前は、松山サテライトに所属し、実質的に責任者として拠点を管理しながら高松での営業活動を1年間担当しましたが 、その時に自分なりに結果を残すことができたという自負がありましたので、支店長の話をいただいた際には「なんとかやれるだろう!」とポジティブに考えられました。自分から希望したポジションではありませんでしたが、管轄する拠点が松山1拠点から、同じ四国の高松を加えた2拠点に増えるくらいの違いですし、「まずはできる範囲でやってみよう」という前向きな思考で、そこまで重大な決意で引き受けた訳ではありません(笑)。

もともと支店の管理業務に興味がありましたので、「大きな決断」というよりは、自然に現在のポジションにたどり着いたような感じかもしれません。自分が女性であるということに関しても、それまでテクノプロ・IT社には私以外の女性支店長は1人だけだったのですが、特別に意識することはなかったですね。

――支店を預かる立場として、日頃から意識して取り組まれていることはありますか。

稲垣 自分が営業職をしていた頃から改善したいと考えていたことがいくつかありましたので、現在はその実現に向けて取り組んでいます。

1つ目は、「時間外業務の削減」です。営業職の頃は、客先から戻った後、夕方以降にミーティングがあったり、自分ひとりで担当業務をこなすことが当たり前だったりして残業時間も多く、仕事と生活の両立が少し大変でした。特に、家庭があるメンバーにとっては、残業してから自宅に帰って食事を作るのは結構大変ですよね。
残業をなくすために、今の私の支店では週次のミーティングを毎週月曜日の11時からに固定して、個別業務の進捗についてもそこで把握するようにしています。
業務が立て込んでいる時には、営業、事務の区別なく担当範囲を越えて互いにサポートし、所定時間内に仕事を終えるために協力しあっています。私自身も家族がいますので、早く帰宅してご飯を作ってあげたいですし、支店のみんなには「早く帰ろう!」と繰り返し声を掛けています。これは単なる私の個人的なわがままなのかもしれませんが(笑)。
また、どんなことでも「何のためにやるのか」をまず考えて、必要のないことには手をつけず、また人にもやらせないように心掛けています。自分たちの数値目標の達成が大変な時もありますが、安易に時間外業務で補うことなく、支店のメンバーが無理をしない形でしっかりと結果を出していくことを重視していますし、今後もその姿勢を貫いていきたいですね。

2つ目は周囲に対する気配りや声がけです。実は、以前の職場で、事前にひとこと声をかけることを怠ったために、結果的に非常に大きな問題に発展してしまった場面に遭遇したことがありました。その経験から、仕事の際には常に周囲の様子に注意を払い、気が付いたことがあれば積極的に関与していくよう意識しています。
例えば、配属先のプロジェクトが合わなくて悩んでいることをなかなか言い出せないメンバーや、妊娠初期で体調がすぐれない女性エンジニアなどがいたとしても、普段から頻繁にコミュニケーションをとっていれば、ちょっとした変化に気が付くことができます。そんな時に積極的に声をかけて、いつでも相談にのれる体制を整えています。
このように周りにあれこれと気を配っているせいか、先日、入社してまだ日が浅いメンバーに「支店の『お母さん』みたいですね!」と言われてしまいました(笑)。最初は驚きましたが、自分はまさにそういった役割を担うことを目指していますので、嬉しかったですね。これからも、時に温かく――でも時には厳しく(笑)――高松支店と松山サテライトに所属している仲間を見守っていこうと思っています。

――稲垣さんは拠点を「母の愛情」でしっかり守っているようですが(笑)、管理職として活躍するために、ほかにどのような能力が必要だとお考えですか。

稲垣 私は、特定の能力やスキルがあるから役職者になれる訳ではなく、“役職が人を作るもの”だと思っています。私自身、支店の責任者としてのポジションに就いてはじめて気が付くことがたくさんあったので、一概に「このスキルがあれば大丈夫!」とは言えません。
それでも、今、振り返って考えてみると、支店運営に関係する数字については学んでおいたほうがいいと思いますね。
正直なところ、数値分析システムのツールを正しく使えているのか、いまだに分かりませんが、予算の立て方や売上管理のロジックなど、支店長になる前から知っていたら、苦労はもっと少なかったかな――と感じています。そう考えると、前任者からの引き継ぎシステムを整えることや、管理職に向けた実践的な研修の実施などを、会社の体制として検討していただきたいですね。

――支店長として忙しい日々を過ごされていると思いますが、プライベートではどのように過ごされていますか。

稲垣 結婚する前はゲームや読書が好きでしたが、今は犬を飼っていて、生活のすべてが愛犬を中心に回っています(笑)。仕事で大変なことがあっても犬の散歩にいくと忘れてしまいますね。
旅行に行く時にも一緒に行ける場所を選びますし、出張で家を空ける際は、家での様子が気になって気になって仕方がないので、自宅にペットカメラを設置して頻繁に確認してしまうくらい大切にしています。この子だけでなく、もっと家族がいたらさらに楽しいだろうなと思い、もう一匹迎えることも検討中です!

また、お酒もよく飲みます。最近は昔ほど飲めなくなってしまいましたが、自宅でお酒のおつまみを作りながら、主人とお酒を飲むことがもうひとつのリフレッシュになっています。そういった意味でも、残業をせず、早く帰宅できる生活がいいですね(笑)。

――支店長として今後の目標や取り組みたいことがあれば教えてください。

稲垣 まずひとつ掲げている目標としては、2022年に導入された新人事制度の内容をしっかりとエンジニアの皆さんに伝えて、毎年、確実に給与を上げられる体制を作っていくことです。制度の大枠は会社が決めてくれていますが、実際に評価を実施した際に、現場の実態にそぐわない部分が出てきてしまうこともあります。そういったケースに対して、ただ制度が変わるのを待って我慢してもらうのではなく、制度の許す範囲内で拠点としてのルールを設定して、皆さんに納得していただく必要があると考えています。そのために支店に所属している優秀な技術リーダーの方が業務報告書で定める目標設定を明確化してくださったので、今後はこの評価基準を活用していく予定です。

また、コロナ以降、支店内で直接会って交流する場面がほとんどなくなってしまいましたので、その状況を変えていくことも目指しています。エンジニアの中には、技術リーダーと1度も会ったことがないまま評価を受けているメンバーもいますので、退職抑止の観点からも、今後このようなケースをなくしていく必要があります。
そういった観点から、拠点の仲間に「ぜひ参加したい!」と思ってもらえる定例会や懇親会の開催を計画するようにしています。例えば、直近に開催した定例会はオンラインとオフラインのハイブリット形式でしたが、オフラインで集まっていただいた方にはリアル脱出ゲームに挑戦してもらい、多数のメンバーが「楽しかった!」という感想を寄せてくれました。通常、定例会というと土曜日に1日かけて開催することが多いですが、貴重な休日を使って行うことも考えて、短時間で内容の濃い有意義な会になるよう工夫しました。定例会のあとの懇親会にも定例会出席者の8割以上が参加してくれて、想像以上に支店内での交流が求められていると実感しましたので、今後も継続して開催していきたいと思っています。

事業の面では、今後、他社の製品を当社の技術者が導入支援するといった形で協力関係を築いて、より幅広いビジネスを開拓していきたいです。
関西圏に比べると人口が少ない四国エリアでは、単独ではなく他社と一緒に協力してビジネスを進めたいと考えているお客さまが多いように感じています。そういった意欲のある会社と組み、アライアンス契約を結ぶことで、当社だけでは成し得なかったソリューションの導入にも現在チャレンジしています。
こういった、自社だけでなく他社とのパートナーシップに基づいた取組みは、私だけでなく、営業担当、エンジニアのモチベーションの向上にもつながっていくと思います。

――最後に、テクノプロ・グループで働く女性社員の方々へメッセージをいただけますか。

稲垣 私自身は「男性だから」 「女性だから」という意識をあまり持ったことがないのですが、性別に関係なく、相手に対して思いやりを持っていれば、きっと円滑に仕事が進んで行くのではないでしょうか。
ただ、男女は関係ないとは言ったものの、先ほどお伝えしたような、「気がついたことがあれば、ちょっとした連絡だけでも入れておく」といった細かな気遣いは、もしかすると女性のほうが得意かもしれません。

また、最近はエンジニア職を求めて女性が入社してくることが多くなりました。当社に入社したら、まだ若い年代だとしても、積極的にリーダーの役割に挑戦してみてほしいですね。むしろ会社側がもっと若手の意見を取りいれていかないといけないと思っていますので、支店の中でもこれから若くても意欲のある女性の技術リーダーを積極的に増やしていく予定です。今後、女性の方にどんどん活躍していただき、一緒にテクノプロ・グループを盛り立てていけたらと思っています。

――稲垣さん、貴重なお話をありがとうございました。

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