株式会社テクノプロ・コンストラクションでは、就業人口が減少を続ける建設業界の人材不足を解消することを目指し、講義に加えて作図・水準測量・測角測量などの実務研修を通じて未経験者が施工管理業務に必要な基礎知識とスキルを身に付けることができる研修施設、東京技術センター(東京都八王子市)と大阪技術センター(大阪府吹田市)を設置しています。
今回、卒業を目前に控えた第6期生に対して疑問や不安がなく現場で活躍することができるよう自身の実体験を伝えるために2018年3月12日に東京技術センターを訪れた第1期卒業生で東関東支店所属の三尾将一朗さんにインタビューを行い、様々なお話を伺いました。
採用担当者の姿勢に触れてテクノプロ・コンストラクションへの入社を決意
―まず、三尾さんがテクノプロ・コンストラクションへ入社したきっかけを聞かせていただけますか?
三尾 実は前職はカスタマーセンターでの仕事で、建設とはまったく関係なかったのですが、ある日に出勤したら職場のドアが閉まっていて、白い張り紙があったんです。読んでみると「ええっ……倒産!?」。
普段の生活の中でまさかそんなことが実際に自分の身に降りかかってくるとは想像すらできませんでしたし、私にとって非常に間の悪いことに、解雇日として書かれていた日の10日後には結婚を控えていましたので、「何が何だかわからない」というのが正直な状況でした。
困り果ててしまい途方に暮れましたが、我ながら切り替えが早いと言うか、諦めが良いと言うのか、「私一人の力では会社が倒産した事実はどうにもならない」と割り切って早速職探しを始めました。いろいろ考えた上で過去に経験のあった営業職ではない分野を探していたところ建築施工管理という仕事に出会い、テクノプロ・コンストラクションを含めいくつかの会社を訪問した結果、幸いにも3社すべてから内定をいただけました。その中でもテクノプロ・コンストラクションに入社を決めた理由は、テクノプロ・コンストラクションが技術者の事を考えてくれている会社だと感じたことが大きかったですね。
面接を受けた会社は、テクノプロ・コンストラクション以外は異口同音に「オリンピック、リニア新幹線建設、老朽化建築物の維持修繕などで建設業界は非常に忙しいので、すぐにでも仕事ができますよ!」というような説明をしてきて、未経験者の私でも「とにかく入社させればいい」という気持ちが前面に出ていました。それに対してテクノプロ・コンストラクションの採用担当の方からは、「今は仕事があっても2020年東京オリンピック・パラリンピック需要が終わり、その余波で着工が延期になっていた工事がひと段落したら能力のない人から仕事がなくなっていく。だから三尾さんには最初に技術センターで基礎をしっかり身に付けてほしい」という説明をされました。この言葉を聞いて「テクノプロ・コンストラクションは技術者を使い捨てにするような会社ではなさそうだ」と感じ、入社する決心ができました。
現場の安全を守るために職人を現場から追い出したことも
―現場で仕事に就いて半年が経過したそうですが、これまでの業務を通じて感じたことは何かありますか?
三尾 まだ仕事の経験は半年程度ですが、研修の時に講師の及川先生が仰っていた、「安全管理は、やっても、やってもまだ足りない」という言葉の意味が実感としてよく分かりましたね。安全帯を付けなかったり、ひどい場合にはヘルメットをしていなかったりと、安全管理の基本からすると考えられないようなことを平気でしてしまう職人が少なくありません。作業に慣れてしまっていて「危ない」と思っていないんでしょう。私は今32才ですので職人の大半から見たら完全に「若造」だと思いますが、私の仕事は「無事故で施主に現場を引き渡す」、そして「職人を無事に家に帰す」ということだと思っていますので、少々嫌われようが危ないと感じた時は『危ない!』と大きな声を出すようにしています。施工管理技術者としては駆け出しですが、大きな声を出すことならいくらでもできますからね。
ある時には私がどれだけ注意しても言うことを聞いてくれない若い職人がいたので、安全を守れないと判断して現場から出て行ってもらったこともあります。もちろん、その後に職人が所属する会社の営業担当者に事情を話して円満解決していますのでご心配なく(笑)。その職人もこの一件以降は安全に気を付けてくれるようになりましたし、以前より会話をすることも増えました。安全のためとはいえ他人に注意するのはすごく勇気が要りますが、それができないと施工管理の仕事は務まりませんし、勇気が必要なのは最初だけです。
「全体最適」を考えながら職人に気持ちよく働いてもらう
―最後に、現場で施工管理業務をうまく進めるコツがあれば教えてください。
三尾 施工管理の基礎は技術センターで教えてもらうことができますが、お客様も技術センターを卒業したばかりの人に対して決して実際の現場で多くを期待してはいないと思います。ですから、まずは恥ずかしがらずに何でも教えてもらうという心構えを持つことが何よりも大切だと思います。その他に仕事をうまく進めるコツがあるとすれば、「全体最適」について常に考えることでしょうか。建設現場では多くの専門業者が働いていますが、例えば電気工事業者とガス工事業者はどちらも建物の躯体の限られた空間に配管を通さなくてはならないので、時にはスペースの取り合いでケンカ腰のやりとりになることさえ珍しくありません。そんなふうに目的や役割によって着目するポイントがそれぞれの人でまったく違うということを理解しておく必要があります。施工管理者としては、現場の関係者全員の目的と関心事を理解しつつ、その上で「全体最適は何か?」ということに考えを巡らせながら、すべての職人に気持ちよく働いてもらい現場を工期通りに終了することが大事なんです。もちろん、「安全第一」も決して忘れずに、です。

建築施工管理業務未経験者を対象に、建設業界に精通した専任講師による16日間から18日間の講義と実務研修を通じて、建築施工管理業務に必要となる基礎的な知識とスキルを習得していただきます。講師陣は、研修中だけではなく卒業後も相談役として万全のサポートを行います。
《講義内容》施工管理、建築概論、建築構造、設備など
《実務研修》手書き製図、水準測量・測角測量など
【お問い合わせ】
東京技術センター:042-646-8990 /大阪技術センター:06-7713-2033