社員インタビュー

開発の最前線から採用部門の責任者へ ~チャレンジで変化した世界

株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社 新卒採用部 副部長 榊原 政美さん 

2006年に株式会社テクノプロ テクノプロ・デザイン社(以下「テクノプロ・デザイン社」 )の前身企業に制御開発のエンジニアとして入社され、現在は新卒採用部で副部長として活躍している榊原さん。エンジニアとして仕事をしていた時には、今のポジションに就くことは思い描いてなかったそうですが、これまでのキャリアや、技術職とはまったく異なるキャリアを選択した理由などについて伺いました。

――榊原さんは以前エンジニアとして活躍されていたとお聞きしましたが、テクノプロ・デザイン社に入社されたきっかけはどのようなものでしょうか。

榊原 テクノプロ・デザイン社に所属する前は、メーカーの子会社で官公庁向けの災害監視システム開発のエンジニアとして働いていました。私が担当していた国や行政のシステムでは信頼性を重視して既存の技術を利用するケースが多かったのですが、当時データ記録媒体や暗号化技術などが大きく発展していく中、もっと新しい技術に触れてみたいと思い転職を決意しました。 いろいろな情報を見ていくうちにテクノプロ・デザイン社を見つけたのですが、自動車や航空機、産業機械、医療機器など幅広い分野を手掛けていて先端技術を活用する案件に関われそうなこと、また、全国展開しているため、キャリアが途切れることなく当時住んでいた東京から地元の愛知県にUターンできる可能性がある点に魅力を感じ、2006年に入社しました。

――入社後は、どのようなプロジェクトに従事されてきましたか。

榊原 最初の配属先は、応募した際に希望していたプロジェクトではありませんでしたが、制御開発の経験があったことから複数の大手メーカーが関わる大きなプロジェクトにアサインしていただきました。プロジェクトは、当時最先端だった暗号化・復号化技術を用いた製品開発で、非常にやりがいのあるものでしたが、最新技術での開発ということもあり、大変だったことを覚えています。ただ、先輩方や配属先のお客さまが、私をフォローして育ててくれましたし、チームで一丸となって困難を乗り越える経験もできたので、エンジニアのキャリアにおいて一番印象深いプロジェクトです。
その後、プロジェクトがひと段落したタイミングで地元の愛知に戻ることになり、FA(ファクトリー・オートメーション)関連で、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース:人間と機械が情報交換するためのデバイス)の開発などを担当し、最終的にはFA制御システムの頭脳にあたるPLC(プログラマブルロジックコントローラー:工業用デジタルコンピューター)開発の要件定義を担当しました。
どの製品開発も新しい技術であったため、「開発って楽しい!」と夢中になっていたら、いつの間にか組込み制御エンジニアとして開発の仕事を17年間も続けていた感じですね(笑)。

――開発の仕事に打ち込んでいた榊原さんが、管理部門にキャリアを移されたのは、ご自身にとってかなり大きな決断だったのでは?

榊原 そうですね。当時は所属支店で一番大きなソフトウェアチームのリーダーを任せていただいていましたし、手掛けていた開発プロジェクトも楽しかったので、実は管理部門で働くことは想定していませんでした。
ただ、テクノプロ・デザイン社では、開発現場で培った経験を活かしてエンジニアのキャリアアップを支援するCDA(キャリア・デザイン・アドバイザー)制度があり、その部門からは何度か雑談ベースでしたがお誘いをいただいていたので、いずれはエンジニアを支える側の仕事も経験してみたいという気持ちは持っていました。
採用部よりお声がけいただいた当時、若手のエンジニアからの相談に乗ることが増えていて、「入社前からテクノプロ・デザイン社の働き方や社内制度のことをもっと詳しく知ってもらえたら、会社に入ってからさらに生き生きと楽しく開発してもらえるのでは」と感じていました。その視点から考えてみると、採用という側面からエンジニアをサポートすることもできるのではないかと思い、2023年に採用部に異動しました。

――採用部門に移ってからはどのような業務を担当されているのでしょうか。

榊原 異動してからは、まず採用業務の大まかな流れを把握するために、採用のためのテクノプロ・デザイン社独自の人材データベースのシステム構築を行いました。その取組みの中で、いくつか自社の採用活動を進化・改良できることに気付きましたので、2024年から当社のエンジニア出身のメンバーがいなかった新卒採用部で副部長として、主にシステム化による採用プロセスの改良を担うことになりました。
現在のポジションに就いてからは、新しいことを始めるための前準備を行いました。まず、メンバーの負担を減らしつつ、現在の成果を出せるような仕組みの検討や、冗長な作業を無くすために古いシステムの入替えを進めました。特にシステム周りの変更は、情報システム部門とやりとりをするため、専門的な知識がある程度必要でした。そのせいか、過去には改善についてやり取りをしたものの相互の理解が嚙み合わず、上手く着地しなかったケースもあったそうですが、システム構築は私の得意分野でもあったので、自分の経験が役に立ったように思います。現在は、無事に新しいシステムを稼働できているので、メンバーの業務負担が少しでも減ってくれることを期待したいですね。

――実際に開発とは異なる業務に就いてみてどのように感じられましたか。

榊原 開発業務は、チーム全体の協力と連携が重要であり、各メンバーの専門知識とチームワークが成果を左右します。一方、当社の採用業務は、採用担当者が伴走型で進めるため、個人の能力や判断が大きく影響し、個々のスキルが直接成果に結びつきます。チーム開発を経験してきた私にとっては、性質が大きく異なり、部門としての採用業務の効率化は大きな課題となりましたが、周りの皆さんに支えていただき、なんとか心折れることなく取り組めました。
課題の中には、新卒採用部が女性の多い部門であることから、女性の先輩に意見を聞いてみたいこともでてきましたが、女性の先輩が少なく相談できずに悩むこともありました。
そんな時に、本社でグループの女性社外取締役と女性社員の座談会が開催され、責任ある立場で長年働いてこられた女性社外取締役お二人のお話を伺い、さらに私の質問にも答えていただき、改めてモチベーションを高めることができました。
現在は、採用業務と部門間との連携を強化するために、幅広い部門や関係者とコミュニケーションを取りながらオープンな部署づくりに取り組んでいます。もともとの採用業務の強みに、開発業務の経験をプラスできるような組織運営や組織体制が理想です。

――管理職のポジションで活躍する榊原さんから見て、女性のリーダーにはどんな心構えが必要だと思われますか。

榊原 現在のポジションでの経験はまだ少ないですし、女性に限ったことではないと思いますが、「感情・感覚で判断する」ことはしてはいけないと思います。
私自身、いつもフラットでいたいという気持ちを持っているので、事実を見て考えるようにしていますし、伝聞や推測ではなく事実ベースで、「この事象があって、結果がこうだから、こうなるよね」といった話をすべきだと考えています。もちろん、人の気持ちを動かすために感情で伝えることが必要なケースもあるかもしれませんが。
例えば、採用業務においても、思い込みなどで採用候補者と話してしまうと、正しい情報が伝わらずに「入社後ギャップ」等が生じる可能性があります。だからこそ、事実を正しく伝えること、事実に基づいて判断することがリーダーになる方々には必要だと考えています。
そのうえで内容をわかりやすく上手に伝達することも大切な能力だと思います。自分の強みである技術知識や当社での開発経験は、新卒採用部のメンバーへ伝えるように心がけており、例えば、「AIとデータサイエンスの違い」といった技術コラムを書いて部内に配信しています。その際は、技術用語をなるべく平易な言葉に置き換えて伝える意識をしています。もしかすると、異動していちばん伸びたスキルは、何かに例える能力かもしれません(笑)。これからさらに経験を増やし、人に伝える能力を身に着けていきたいですね。

――忙しい毎日を過ごされていると思いますが、プライベートではどのように過ごしていますか?

榊原趣味は子育て!です。休日は出来る限り子供との時間を楽しんでいます。ここ数年は、スノーボードと空手の時間が多いです。
実は、スノーボードはインストラクターの資格を持っていて、ゲレンデで子供に教えながら一緒に滑っています。また、空手は、子供が小さいころに「体験に参加したい」というので付き添うことにしたのですが、「一緒にやろうよ!」とねだられてしまい、可愛さに断れず、私も道場に通い始め…。子供と切磋琢磨していたら、いつの間にか黒帯になっていました。今では子供もとても強くなり、子供が思春期の時に親子げんかになったら「じゃあ道場で(決着をつけよう)!」という言葉が出ていました(笑)。

――お子さんに付き合って黒帯を取るまでとは、すごいですね……!(笑)。しかし、育児と仕事との両立は大変ではありませんでしたか。

榊原 近くに頼れる身内もいなかったので、子供が小さいうちは本当に苦労しました。特に、まだ言葉を上手く話せない頃は、子供の可愛さだけを頼りに、自分が我慢することが多かったですね……。けれど、子供が話せるようになってからは、怒ってしまいそうな時は「今日、ママは少し心が狭いから、いつもより少し怒りっぽいよ」など前もって伝えて、厳しいことを言ってもびっくりさせないように布石を打つこともありました。「ちょっとかわいそうかな」とも思いましたが、私も人間なので……。そんな時には子供なりに気を使って行動してくれていたようです。
何よりも、自分が家事・育児・仕事、全てをやらなければと考えるとパンクしてしまいますので、優先順位を付けて、できる範囲のことをすると決めていました。それに、子育てに関しては保育園や学童の先生の皆さん、お母さん仲間など、周りの方にたくさん助けていただきましたので、本当に感謝しかありません。

――最後に、今後の目標やお考えがあれば教えてください。

榊原 私は、課題を見つけ解決することが得意ですが、採用部門に異動してから、特に感じている課題が2つあります。1つ目は「企業認知」です。採用業務を行うようになり、採用候補者に対する「企業認知」の低さを痛感しました。B to Bビジネスのため仕方ない…とは言えないですね。やはり、名前を聞いたことのない企業へ不安なく応募する人は少ないと思います。当社はエンジニアにとって長く活躍できるフィールドがあるにもかかわらず、それを知ってもらう機会を作れていないのは、単純に採用の機会損失となっています。もしかしたら、お客さまの開発現場にいるエンジニアや営業活動の場でも同じような課題があるかもしれません。そのため、今後は「企業認知」を高め、当社を知ってもらう活動を強化できればと考えています。
2つ目は「社員向け情報発信」です。これはテクノプロ・デザイン社の嶋岡社長が社員へ伝えている「社員の成長の土壌を作ることが会社の役割」の推進にもつながります。特に、社員の9割がエンジニアの当社ですが、管理部門の業務に携わるエンジニアは少ないです。そこで、当社エンジニアに私のようなキャリアパスもあることを知ってもらい、当社の事業軸である開発技術への提案や意見も増えたら、さらに優位性のある企業になると信じています。また、社員の自社理解が促進されることで、よりリファラル採用や開発プロジェクトの受注などにつながると考えています。
今回、お話をさせていただき改めて感じましたが、当社の仲間のためにまだまだ取り組みたいことがありますので、エンジニア経験を活かしながらさまざまなことにチャレンジしていきたいと思います。

――榊原さん、貴重なお話をありがとうございました。

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